普門軒の禅のミカタ

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ダルマさんの四つの思想(3)教外別伝(きょうげべつでん)

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自分の心にそのまま向かえ。方法論は分かった。その時に注意すべき事はないか。その注意事項が〈教外別伝(きょうげべつでん)〉です。

知識や理論から離れればとりわけ伝わってくる

外とは「そと」or「はなれる」?

以外、海外、心外、案外と言えば「そと」の意味合いがあり、塵外、疎外、除外、天外と言えば「はなれる」の意味合いがあります。「教外」の場合はどちらの意味合いでしょうか。

「教」とはお釈迦様のお教えの教理や教説、つまり知識や理論のことですから、その知識や理論の「そと」と見ればいいのでしょうか。知識や理論から「離れる」と見ればいいのでしょうか。私は「知識や理論から離れる」と思っております。

 別とは「わかれ」、「ほか」or「とりわけ」?

「別伝」の「伝」は伝える、伝わる、授ける、続くという意味ですね。「別」という言葉。この言葉が重要です。別離、送別と言えば「わかれ」の意味合いがあり、別紙、別途、別名と言えば「ほか・ちがう」の意味合いがあります。この他に別格、別趣、別才と言えば「とりわけ・とくに」の意味合いがあります。

この「別伝」の場合は、別れて伝わるのか、違って伝わるのか、とりわけ伝わるのか。私は「とくに伝わる」と見ます。 ​

実践の中に真理は伝わる

〈教外別伝〉とは知識や理論から離れればとりわけ伝わってくる。この言葉は〈直指人心見性成仏〉の注意点を親切に示されているのです。

〈教外別伝〉は教理教説は不用であると拒否した言葉ではなく、”木を見て森を見ず”。私たち人間というのはとかく知識や理論に陥りやすい。それを戒めている注意事項だと思うのです。

と同時に、この〈教外別伝〉という言葉が禅の実践(生活の中に落とし込んだ修行)を重んじる気風の根源につながっているのだと言えるでしょう。