臨済宗の禅は、〈看話禅(かんなぜん)〉と言われており、禅宗における坐禅修行の一つです。看話禅は〈公案(こうあん)〉と言われるいわゆる禅問答を重視し、公案を研究し理解することで〈大悟(悟り)〉に至ろうとする禅のことです。
禅問答とは悟りに至った物語
悟りに至った物語=公案
公案はこれまでの祖師方の悟りにいたった物語がその問答の内容です。その悟りの物語を自分自身でとらえ、祖師方の悟りを追体験です。
この公案の重視が、師匠から弟子へと悟りの伝統が引き継がれていくのです。その問答のやりとりは残念ながら公開はされません。
修行を始める修行僧にはじめに渡される公案が〈隻手音声(せきしゅおんじょう)〉といわれるものです。白隠禅師が創案した禅の代表的な公案のひとつです。
白隠禅師が修行者たちを前にしてこう言った。
「隻手声あり、その声を聞け」
(大意:両手を打ち合わせると音がする。では片手ではどんな音がしたのか)